某宗教団体に入りかけた話(1)
最近は物騒な事件も起きて、政治と宗教団体の関係も世間に取り上げられるようになってきました。話を聞けば聞くほど、どうして宗教に依存してしまうのか謎に思う人も沢山いると思います。今回はそれについて、自分の貴重な体験をもとに書いていきます。
——「自分を変えたい人」募集
当時の私はお付き合いしていた人との関係で悩んでおり、自己嫌悪が激しい状態でした。心が満たされない感覚は、相手が悪いのではなく、自分の認知に問題があるのでは?と気づいてから、「変わらなきゃ幸せになれない」と思い込んでいました。そこで、心理学を学んだり、様々な本やネット記事を読み漁っていました。すると、棒掲示板に「自分を変えたい人、意欲的な人と一緒に頑張れる人募集」と書いてあるのを見つけたのです。その募集が魅力的に見え、応募することにしました。
ZOOMでの面談をすることになり、自分と同い年くらいの女性にそのサークルの目的や内容について、2時間ほどかけて教えてもらいました。ざっくりいうと、「ヨガ、宇宙、歴史、心理、チャクラ…などを学べます」みたいな内容だった気がします。(記憶が曖昧)その話を一通り聞いて、加入するか意思を確認され、もちろん私は興味があったので「やる」と答えました。
そこから、週に2~3回、約2時間ほどの講座が始まりました。講義は、サークル歴6年という30歳の強面お兄さんと、サークルの女性1人の合計3人で行っていました。その講座の内容は、輪廻転生、カルマ落とし、カルマの法則、功徳、チャクラ、三悪趣…など、この世の全てを知った気になれる内容でした。このワードでピンとくる方もいるかもしれません。簡単に言うと、「人生で起きる出来事は、全てカルマの法則(したことは返ってくる)で成り立っている。行いには徳・業・どちらでもないの三種類が存在し、現代の娯楽や嫌悪で溢れた社会は、普通に生きていれば業を詰みやすい。徳と業の量で、来世の転生先が決まる。(地獄、餓鬼、動物、人間、阿修羅、天界)より上のステージに行けるように、今生は修行しよう」という教え。
ここでは、今の苦しい人生に希望と絶望を持たせる輪廻転生が出てきます。これは、来世が明るくなる可能性を示すと同時に、今より苦しいことがやって来る恐れを抱かせます。
では、修業とは何か。四無量心の文を道ですれ違う人に唱える(1日3000回)、蓮華座(お父さんすわりの深いやつ)をできるだけ長く組む。戒律(殺生、偸盗、綺語など)を守る…等々ありました。一日の終わりに、お兄さんに各項目何回実践したかを報告していました。修業(?)期間中も講座は続いていくのですが、徐々にこんなことを言われ始めます。
——「修行第一で生きろ」
来世いい人生を送るために、今楽しむことを辞めて、徳を詰める修行に時間を充てましょうと指示されます。もちろん気味の悪い話ですし、脳はそれを拒否します。しかし、それを伝えると、見事に論破らしきものをしてくるのです。徐々に内容はエスカレートしていったのです、人に会うな・話すな、化粧はするな、好きなことをするな…という具合に。
(続く)